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英語で世界史を学べる、一石二鳥のイギリス教科書【レビュー】

  • 受験勉強に明け暮れている高校生
  • 限られた時間の中で教養を身につけたい社会人
  • 英語も歴史も勉強したい人

こんな方を対象にした記事です。

記事のテーマ

英語で世界史を学べる、一石二鳥のイギリス教科書【レビュー】

英語学習の一環として人気の多読。小説やノンフィクションなど洋書、海外のニュースサイトを使っている人が多いと思いますが、英語でなにか別のことを勉強すれば一石二鳥です。

そこで今回レビューするのは、イギリスの学生向けに書かれた歴史の教科書『GCSE Modern World History』。英語と歴史の勉強になるうえ、読みものとしても純粋に楽しめる優れもの。

一体どんな本なのか、その特徴をメリット&デメリットと共に見ていきましょう。

GCSE Modern World History

たなびくイギリス国旗

書籍タイトルにある「GCSE」は「General Certificate of Secondary Education」の略。世界各国のブリティッシュスクールを含む🇬🇧イギリスの学校にて、 中等教育を修了する際に全生徒が受験する全国統一試験のことです。

その対策として世界史の知識をカバーするのが『GCSE Modern World History』ということになります。

イギリスの学校で使われている試験対策本

基本情報

  • ペーパーバック:428ページ
  • 出版社:Hodder Murray; 2版 (2001/5/30)
  • 言語:英語
  • 商品パッケージの寸法:21.6 x 2.5 x 28.6 cm

内容は近代史。1914年に開戦した第一次世界大戦とその原因から始まり、1991年のソビエト連邦崩壊までを網羅しています。

ページ数は目次なども入れて428ページという大ボリューム。仮にこの本のすべてを体に染みこませることが出来るのなら、一般人が持つ近代史の知識としては十分すぎるほどです。

ちなみにイギリス人著者の英語参考書としては『Practical Everyday English』もおすすめ。ご興味のある方は下記リンクをご覧ください。

英語の教材としておすすめする理由

ここでは『GCSE Modern World History』を英語の教科書として使う利点を3つご紹介します。

ネイティブ用だから文法などの間違いがない

本書がイギリスの全国統一試験「GCSE」の教科書であることは前述した通り。つまり英語学習者に向けたものではなく、基本的にはイギリスの英語ネイティブを対象とした歴史の本です。

日本人向けに日本人が書いた英語の参考書には、微妙なニュアンスの違いや文法のミスが含まれがち。英語ネイティブが日本語で書いたものはいいのですが、英語で歴史を学べる日本の書籍はほぼないんですよね。

中には『英語で読む高校世界史』という参考書がありますが、レビューを見ると「誤りがある」との意見がいくつか見受けられました。

とはいえ英語初心者の方にとっては日本語訳は強い味方。あまり細かいことは気にせず、こういった日本語が含まれる本を勉強のきっかけにするのはいいことだと思います。なんでもとりあえず始めるのが大事!

アカデミック英語から日常表現まで盛りだくさん

歴史の教科書なので、条約、同盟、歴史的な出来事などの専門用語はもちろんいっぱい。日本語では誰もが知っていても、英語だとなんて言うのかわからないものは多いです。

こういった専門用語については普段あまり使わないとは思いますが、 頭の片隅にでも置いておくと、映画、小説、ニュースなどへの見識が広がります。

ベルサイユ条約

The Treaty of Versalles
/vɛəˈsaɪ/
/vəɹˈsaɪ/
/vəɹˈzaɪ/

Sauce 1 was taken at the signing of the Treaty of Versailles at the Paris Peace Conference.

『GCSE Modern World History』 P80

水晶の夜

The Night of Broken Glass

This event became known as Kristallnacht or 'The Night of Broken Glass'.

『GCSE Modern World History』P180

キューバ危機

The Cuban Missile Crisis
The October crisis

the Cuban missle crisis, 1962

It was against the background of the arms race that Cuba became a major flashpoint of the Cold War.

『GCSE Modern World History』P347

また、全編にわたって歴史上の出来事がストーリーのようにつづられているので、単語、熟語、フレーズなど日常会話で使える表現もたくさん見受けられます。

アメと鞭

carrot and stick

In 1906 the Tsar appointed a tough new Prime Minister - Peter Stolypin. Stolypin used a 'carrot and stick' approach to the problems of Russia.

『GCSE Modern World History』P106

~するのにいくらか助けになる

go some way to doing something

The differing belief of the USA and the USSR go some way to explaining why the Cold War developed, but not all the way.

『GCSE Modern World History』 P327

大きく報道される

hit the headlines

Some groups hit the headlines with their bra-burning protests.

『GCSE Modern World History』P385

ぱっと目に入ったものを書き出しましたが、私には毎ページのように新たな発見があって新鮮でした。

ちなみに詳しくは下記リンクにまとめていますが、こういった専門用語などの名詞を調べる際には、英英辞書ではなく英和辞書を使うのがおすすめです。

シンプルな文章で読みやすい

日本の教科書を思い浮かべてみてください。とてもきれいな日本語で、あくまでわかりやすい文体が用いられていますよね。

これは英語の教科書でも同じ。単語や表現はネイティブの中高生が読むレベルですが、文学的でもなければ、口語的でもありません。

意外とすらすら読める!

たまに出てくる変わった文法は倒置くらいでしょうか。下記は第二次世界大戦直前の日本についての記述。読みやすい文章の中で、否定の「not only」が文頭に来るパターンの倒置が使われています。

Japan wanted to carve out an empire in the Far East that would make it self-sufficient in vital materials such as rice, oil, coal and rubber. However, not only was this threatening to the USA, it also threatened Japan's other large and powerful neighbour, the USSR.

『GCSE Modern World History』P277

これくらいはちょうどいい勉強です。没入してい読んでいると、こういった倒置がいかにドラマチックかということも感じ取れるようになっていくんですよね。不思議。

歴史の教材としておすすめする理由

ここでは『GCSE Modern World History』を歴史の教科書として使う利点を3つご紹介します。

写真や図がフルカラーで掲載されている

全428ページが色分けされたフルカラーで、 写真、挿絵、地図、表、グラフなど、ビジュアル資料も盛りだくさん。

ぱっと見の大ボリュームには怯みますが、いざページをめくってみると、その見やすさから拒否感がすっと消えていくはず。

日本語でも英語でも歴史に関する書物はたくさんあります。が、もともと歴史が超苦手なわたくしHAL、小説やノンフィクションなどの読みものは大好物ですが、白ページに文字が羅列された歴史本なんか絶対に無理。

もともと極度の歴史嫌いだった私。高校の入試テストなんかは、5教科中4教科が50点満点中45点以上だったのに、社会だけ20点代でした。テヘペロ。

ヒトラーって第二次世界大戦に関係あるの?

少し前までこんな状態でしたからね。いや、自分でもドン引きですよ……。

まあつまり、それくらい歴史をまったく知らない人でも楽しく読める教科書ということです。

100年の歴史をカバーできる情報量の多さ

前述したように、内容は1914年に開戦した第一次世界大戦とその原因から始まり、1991年のソビエト連邦崩壊まで。

それより以前の世界情勢についての記述も含めると、100年以上の歴史をこれ一冊でカバーすることができます。

『GCSE Modern World History』実物写真
『GCSE Modern World History』実物写真

さらに、本文だけでなく、各チャプターの冒頭では「FOCUS」としてポイントをまとめてくれていたり、重要人物のプロフィールをまとめた「PROFILE」欄があったり。

ほぼ全ページにある「SOURCE」では、前述した写真や図などビジュアル資料に加え、スピーチや手紙の抜粋なども掲載されています。

具体例として、最初のチャプター「The cause of the First World War - Murder in Sarajevo」を見てみましょう。

サラエボ事件のページ

  1. FOCUS:この章で学ぶポイント3つ
  2. SOURCE 1:サラエボ事件の全容
  3. SOURCE 2:サラエボに到着したフランツ・フェルディナント大公と、その妻であるソフィーの写真
  4. SOURCE 3:パレードのルートと襲撃現場を記した地図のイラスト
  5. 本文:サラエボ事件後の各国の動き(日付別リスト付き)
  6. 欄外:授業などで使えるアクティビティ案と質問

映画のようなドラマチックな構成

本書が面白いのは、すべてを時系列に追っていくのではなく、主要イベントにフォーカスを当て、その歴史上の背景を謎解きのように探っていくような構成だから。ストーリーを読んでいるみたいに理解できるんですよね。

前述した最初のページ「Murder in Sarajevo」からは、サラエボ事件がなぜヨーロッパの主要国を巻き込んだ全面戦争へと発展したのかを解くべく、1914年のヨーロッパの情勢を学んでいくことになります。

サラエボの街並み
サラエボ

同年、ヨーロッパの主要6国は2つの同盟に分かれていました。

2つの同盟

  • 1882年に結ばれた三国同盟(🇩🇪ドイツ、🇮🇹イタリア、オーストリア=ハンガリー)
  • 1907年に結ばれた三国協商(🇬🇧イギリス、🇫🇷フランス、🇷🇺ロシア)

本書ではこの詳しい解説が展開されたのち、いかにヨーロッパ内での緊張が高まっていったのかが語られ、第一次世界大戦の背景が紐解かれていきます。こう言ってはなんですが、本当に映画みたいです。

全体的なデメリット

『GCSE Modern World History』実物写真

ここまでべた褒めしてきましたが、知っておきたいデメリットも5つご紹介します。

長文に慣れていない初心者には難しい

英語ネイティブ向けに書かれた本だからこそ、単語や文法の間違いが少ないという点はメリットとして触れました。つまり日本語はどこにもないということです。

また、教科書なので読みやすいということにも触れましたが、英語の長文に触れた経験の少ない初心者の方には難しいと思います。

日本についての記述の少なさ

イギリスで書かれた世界史の教科書なので、ヨーロッパ周辺の歴史が主なトピックになっています。

日本については、1931年の満州事変、1941年の真珠湾攻撃、1945年の原子爆弾投下が大きく扱われており、あとはちらほら出てくる程度。日本史を学ぶのには向いていません。

最後まで読み切るのが大変

情報量が多い分、最後まで読み切るのがめちゃくちゃ大変。私は知らない英単語や熟語、気になった出来事について調べながら読み進め、すべて読み切るのに約47時間かかりました。

ここまで時間をかけられない場合は、興味のないところ、必要のないところを読み飛ばしたり、情報を選別するといいかもしれないですね。

大きくて重いから持ち歩きに向かない

前述した通り、サイズは横21.6 cm×縦28.6 cm×厚さ2.5cm。カバンに入れて持ち歩くには大きくて重すぎます。

新品を売っている販売店が少ない

少なくとも新品を販売している日本のネットショッピングサイトはAmazonだけのようです。ベストセラーなので販売中止になることは滅多にないと思いますが、在庫切れは起こり得ますね。

まとめ:教養を深めたい学生や社会人に

虫眼鏡と地球儀とかばん

学生の教科書は大人の勉強にもすごく役立ります。

この『GCSE Modern World History』もその中のひとつ。もとはといえば学生向けの教科書ですが、何歳になっても興味深く読める内容になっています。語学力と教養がいっぺんに身に着くなんて超ラッキー。

ぜひ本書を手に取って、英語で世界史を学んでみてください。

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