- 英語を学習している羽生結弦ファンやスケオタ
- 英語の勉強法として多読を始めたい初心者
- 英語で著名人の人生哲学を学んでモチベーションも上げたい人
こんな方を対象にした記事です。
『英語で読む羽生結弦』インタビュー&名言も充実の伝記【レビュー】
言わずと知れたフィギュアスケート界の生ける伝説、羽生結弦。
2010年にシニアデビュー。いわゆる「ニース落ち」と呼ばれる多くのファンを生み出した2012年の世界選手権から、彼の絶対王者への道は始まりました。
2014年のソチオリンピックでは優勝。その後は世界新記録などを連発し、2018年の平昌オリンピックでも優勝。五輪2連覇という快挙を達成するなど、目まぐるしい活躍はフィギュアスケートファンでなくても強く印象に残っていますよね。
#YuzuruHanyu of #JPN defends his Olympic crown with #Gold in Men's #FigureSkating at #PyeongChang2018! He is the first to win back-to-back gold since Dick Button did so in 1948 and 1952. @ISU_Figure
— Olympic Channel (@olympicchannel) February 17, 2018
More here: https://t.co/IEOMAVKRqt pic.twitter.com/fNScSXG9C3
今回レビューするのは、そんな彼の軌跡が記された『英語で読む羽生結弦』。英文と日本語を見比べることができ、英単語や文法の解説もあるため、初心者の方でも安心して読める一冊です。
英語で読む羽生結弦
一体どんな本なのか、その特徴を見ていきましょう。
Contents
英語で読む羽生結弦
【The Yuzuru Hanyu Story】
羽生結弦が4歳でフィギュアスケートを始めた1998年から、平昌オリンピック直前の2018年までを記録した伝記。その間の出来事が、英語と日本語ですっきり簡潔にまとめられています。
基本情報
- 単行本(ソフトカバー): 213ページ
- 出版社 : IBCパブリッシング (2017/12/15)
- 言語 : 日本語
- 発売日 : 2017/12/15
- 梱包サイズ : 19 x 13.2 x 1.5 cm
チャプター
- A genius boy in Sendai!
天才少年が仙台にいる! - Affected by the Great East Japan Earthquake
3.11 東日本大震災で被災 - Training in Canada
カナダでトレーニング - The Sochi Olympics: First Japanese male to win the gold medal
ソチ五輪で日本男子初のメダル - Fighting injuries and sickness
ケガ、病気とも闘いながら - Beating his own world record
自己の世界新記録を更新 - The PyeongChang Olympics and beyond
平昌五輪へ、そして未来へ
英文はシンプルで非常に読みやすいです。英語レベルは高すぎず、低すぎず。中学レベルを抑えていれば、たまに知らない単語や表現に出会いながら、サクサク進めることができます。
また、アメリカの言語学者の指揮のもと、MP3音声としてCD-ROMに収録されているため、リスニングの練習にも最適です。
さらに詳しいおすすめポイントも確認していきましょう。
おすすめポイント
英文×日本文の見やすいレイアウト


見開きの左側に英文、右側に日本文が掲載されているページ構成。それぞれの段落が対応するよう、改行幅が調整されているので、見比べながら読む際にとっても見やすいです。
ページはモノクロ。文章量も少なくないですが、チャプターの中で説や段落が細かに分かれており、文字の大きさや行間もちょうどいいため、苦なく読み進めることができます。


また、羽生結弦ファンであれば彼のスケート人生の概要はご存知だと思うので、英語でもすっと頭に入ってきます。
ページに記載されている語注


英文ページの下部には、文章内に出てきたポイントとなる英単語とその意味が記載されています。
語注の例
- menswear:紳士服
- asthma:喘息
- as well:同じように
- used to do:よく~していた
- all year round:一年中
- home turf:本拠地
こういった単語が毎ページ、非常にコンパクトにまとめられているため、文章を読みながらサクッと意味を確認することが可能です。
本文にある英語表現の解説


各チャプターの終わりに「覚えておきたい英語表現」という項目があり、本文に沿った学習のポイントが簡単にまとめられています。
英語を学び始めた人がほぼ必ず初期に学ぶ単語がthatでしょう。指示形容詞、指示代名詞としてはもちろん、関係代名詞や同格など様々な使い方がありますが、あまり学校で習わない使い方が副詞thatの使い方です。日常生活はもちろん、各種英語検定でも最近はよく出てきますので是非覚えておきましょう。
『英語で読む羽生結弦』Chapter1
I can't run that fast
私はそんなに速く走れません。
It isn't not that cheap.
それはそんなに安くないよ。
英語レベルはそれほど高くありませんが、見落としがちな部分をフォローしてくれていますね。初心者の方はもちろん、中級者でも新たな気づきがあるかもしれません。
専門用語から日常表現まで盛りだくさん


これまでの引用部分からも納得できると思いますが、伝記本なのでフィギュアスケートの専門用語や関連用語に加え、普段使うような表現もたくさん出てきます。
スケート専門用語/関連用語
- interpretation:演技
- land on:着地する
- pivot:回転軸
- run through practice:通し稽古
- withdrawal:棄権
- fellow senior:同門の先輩


日常で使える用語
- epicenter:震源地
- affinity:親近感
- artistry:芸術性
- detailed examination:精密検査
- second half of ~:~の後半
- flawless:非の打ち所がない
フィギュアスケートのことを英語で話したい人や英語の記事を読みたいスケオタはもちろん、なんとなく興味があるから本書を手に取っただけの英語学習者も学べることは多いです。
スケートコラムと羽生結弦の年表


各技の名前と特徴やフィギュアスケートの試合の基本ルールが書かれたスケートコラムは3つあり、こちらも英文と日本文の対比で構成されています。
ここで記述されている表現を頭に入れれば、フィギュアスケートの基礎は英語で説明できますね。
スケートコラム
- Jumps in figure skating
ジャンプの種類 - The difference between the short program (SP) and free skating (FS)
SPとFSの違い - Types of spins and steps
スピンやステップの種類
そして本書のラストには、付録として「羽生結弦のスケート年表」が掲載されています。
羽生結弦のスケート年表
- ノービス時代からの(欠場を含む)全試合と順位
- 連覇や日本初などの記録
- プログラムの曲名と振付師
惜しいのは点数がないところ。これが載っていれば確認用として完璧でした。とはいえパッと手に取って見やすいので十分に使えます。
アメリカ人が朗読したMP3音声


MP3形式のCD-ROMが付属しており、日米の声優であるピーター・ボン・ゴムが本文とスケートコラムを読み上げた音声が収録されています。スピードは一般的なオーディオブック程度。遅くもなく速くもないです。
実際に聴いていると、やはり「Yuzuru Hanyu」「Saitama Super Arena」「Seimei」など日本語がたくさん出てきますし、背景を知っているので聞き取りやすいですね。
例えば音声に集中しない瞬間があっても、知っているワードや状況により自然とストーリーに戻ってこれます。これは聞き流しに最適です。
残念ポイント
紙面に写真掲載がない
これだけ惜しい! 表紙には「SEIMEI」の素敵な写真が使われていますが、紙面はすべて白黒、写真は一切ありません。
ビジュアル要素があれば、英文を読むのに慣れていない方も読みやすいですし、なによりファンとしてはテンションがダダ上がりなので勉強が捗るはず。
この点をクリアしていれば100点の書籍でした。とはいえ、このデメリットを差し引いても95点くらいですかね。素敵な書籍です。
本書の参考資料
本書の参考資料として挙げられている書籍は以下の通りです。
ほかの「英語で読む」シリーズ伝記
羽生結弦のほかにもこんなラインナップが揃っています。
いかがでしたでしょうか。ぜひ『英語で読む羽生結弦』で楽しみながら英語を勉強してみてください。